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8割が知らない!?60枚デッキの大きな落とし穴!

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どうも、EXW所属ターンUだ。

実は先日我らがチームの質問箱にとある質問が届いていた。

それがこちら。

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確かに最近の入賞デッキには明らかに以前よりも60枚デッキが増えてきており、こういった疑問が発生するのは当然のことであると思う。

だがこの質問に答える前に、1つ大きな問題点がある。あなたはそれがわかるだろうか?

 

実はこの質問者の方は60枚デッキの特性について多くの人が陥りやすい大きな落とし穴にハマってしまっているのだ。

とはいえ、これを読んでいる方の中にも「何が間違いなの?」と思っている方もいるかも知れない。そこで今回は今こそ知っておきたい60枚デッキのメリットデメリットについて書いていこうと思う。

 

60枚デッキは1ターンの手数を増やせる

先述の誤った理解について述べる前にまずは多くの人が知っているであろう基本的な部分からおさらいしていこうと思う。

60枚デッキにする理由のひとつには1ターンの手数の増加が挙げられるだろう。

特に最も大きな目的といえばご存知隣の芝刈り

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相手が一般的な40枚デッキであれば20枚もデッキに落とせるこの破格のカードを使えば現代遊戯王においては無限と言っても過言でないほどの手数とパワーを得ることができる。

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そのあまりのパワーから隣の芝刈りは準制限カードと指定されてしまい以前よりも引く確率は落ちてしまったが、それでもなお芝刈りを求めて60枚デッキにする者は多い。

また、他の手札全てを犠牲にして好きな魔法カードをサーチ出来る左腕の代償で芝刈りをする確率を高めることも出来るためデッキが60枚でもそれなりの確率で芝刈りを行うことが可能である。

また、60枚デッキは同じカードが手札に2枚以上来る確率が下がる点も見逃せない。現代の遊戯王では大抵のカードが「このカードの効果は1ターンに1度しか発動(使用)出来ない」のような通称「ターン1」効果となっている。そのため同じカードが2枚以上手札に来ると無駄になりがちなのだが60枚デッキは最初の手札5枚全ての効果を使いやすいという利点を持っており、これも1ターンの手数を増やすという目的にマッチしたものとなっている。

 

60枚デッキは特定のカードを引き込みにくい

ここから徐々に今回のテーマの核心に迫るトピックとなっていく。

皆さんが初心者の頃あれもこれもとカードをデッキに入れて41枚以上にした時、「デッキは基本的に40枚にしたほうがいいよ」と言われた経験はないだろうか?

その理由は簡単で、特定のキーカードを引きたい場合にデッキの枚数は少ないほうが良いからである。

例えばデッキからカードを1枚だけ引くとする。デッキには当たりが1枚と外れが1枚の合計2枚。当たりを引く確率は1/2である。

しかし、デッキが当たりが1枚と外れが2枚の合計3枚であれば当たりを引く確率は1/3になってしまう。

これと同じことが遊戯王のデッキでも言えるのでキーカードを引きたい、引いては手札事故を起こしたくないのであればデッキの枚数は可能な限り少ない40枚デッキにするべきである、というのが一般的な構築論である。

事実これは正しいデッキ構築論の理解であり、事実筆者もどうしてもキーカードを引きたいデッキは必ず40枚にしており、やむを得ずデッキ枚数を増やす場合も可能な限り40枚に近い枚数にしている。

しかしこれには大きな落とし穴が存在している。

先ほど出した例において、もしも合計3枚のデッキの内訳が当たりが2枚、外れが1枚であった場合はどうだろうか?

 

60枚デッキは事故りにくい!?

前章のラストにも述べた問題だが答えは簡単、当たりを引く確率は2/3である。

そう、デッキの枚数を増やすことと手札事故になる確率は実は関係無いのである。

これこそが冒頭の質問者もハマっていた、多くの人が陥りやすい60枚デッキの大きな落とし穴なのだ。

今度はより実践的な例で考察してみよう。

40枚デッキに3枚Aというカードが入っている。このAが初手5枚に1枚以上ある確率はおよそ33.8%となる。

ではこのデッキにAをサーチできるA‘というカードを3枚追加で入れてみる。よってデッキ枚数は43枚。A、A‘の合計は6枚。

この場合においてA、もしくはA’が初手5枚に1枚以上ある確率は54.7%となる。

この調子でAをサーチ、もしくはAと同じような効果を持つカードを投入して60枚デッキにしてみる。Aタイプのカードの合計は23枚。

ここまで行くとAタイプのカードが初手5枚に1枚以上存在する確率は92.0%である。

それだけではない。遊戯王というカードゲームには「手札にきてはいけないがデッキには入れておかなければならないカード」が存在することが多い。デッキの枚数を増やすことでそういったカードを引く確率を減らすこともできる。

これらを総合した場合、最初の40枚デッキよりも60枚デッキの方が手札事故の確率が大幅に下がっていることを理解していただけただろうか?

つまり、60枚デッキは構築次第でむしろ40枚デッキよりも手札事故が起きにくいデッキなのである

この事実こそが昨今60枚デッキが増えている理由を紐解く鍵になるのだ。

 

今の60枚事情

では今までを踏まえて実際増えている60枚デッキがどのようなものなのかについて述べていこう。

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この構築は実際に筆者が使っている60枚デッキになり、増えてきている60枚デッキとそう大きな違いがないと思うのでサンプルとして出させていただく。

このデッキの特徴はうららや指名者などの展開に関係ないカードを減らしてPUNKや混沌領域などの初動となるカードやサンダードラゴンやシラユキなどの展開に関係あるカードの比率を増やしていることにある。

こうして様々なギミックを同時に搭載することによって60枚デッキであったとしても手札事故を減らすことが出来るだけではなく、手数を増やすことにも繋がるので相手の手札誘発などの妨害を無理矢理超えていくことができるようになっている。

特に相手の増殖するGに対する耐性が強く、うららや指名者で無効にするのではなくイシズギミック等で無理矢理展開して相手にデッキを引き切らせることで勝つことが出来るのが非常に強力だ。

更に最近登場したイシズギミックを採用することで芝刈り程では無いにしろデッキからカードを墓地に落とすことが出来るようになっている上、ムドラやケルドウで相手の墓地のカードは使わせないようにすることもできる。

総じてデッキ全体で無駄の少ないような構築となっており、そんじょそこらの40枚デッキよりも高い安定性と爆発力を兼ね備えたデッキに仕上がっている。これが最近入賞が多い理由なのである。

ただし手札によってどのギミックをどの順番で回すかという判断が必要になっており、また当然60枚デッキのためほぼ毎回違う手札が来ることも相まって相当の練習量が必要なデッキとなっている。

 

終わりに

今回は60枚デッキの特徴と最近増えている60枚デッキに関する解説を書かせていただいた。

今まで60枚デッキは事故ると考えていた人にとっては意外な内容だったのではないだろうか?

最適なデッキ枚数は40枚の場合が確かに多いが、そこで思考停止するのではなくそれぞれのデッキの個性に合わせたものを選択する必要がある。

お手持ちのデッキの枚数も今一度確かめてみてはいかがだろうか?